桑名宿のしおり  第3回  餅街道


昨今全国の美味なもの、珍しいものを居ながらにして楽しめるお取り寄せ がブームのようです。肉・野菜・魚・珍味・調味料等々そのアイテムは多 岐に渡るようです。以前、ある和食の店のコンンセプト作りに関わり、お 食事の最後にお出しするお甘を全国から取り寄せてお出ししたらと考えま した。 地元で愛されており、東京進出していない店舗である事。老舗である事。 その和菓子がロングセラーで有る事。この三点にこだわり全国の和菓子探 しが始まりました。 1年余も銘菓探しを続け、ふと有る事に気付きました。銘菓、とりわけ前 述のこだわりに適った和菓子のある処が三重県・岐阜県・京都に集中して いるのです。京都に銘菓が多いのは納得の事実ですが、それは多少私が求 めるものと違い華やかな・雅な・高級な和菓子達で、それに比べ三重・岐 阜で見つけた和菓子の素朴さ・懐かしさ・その圧倒的な数の多さに驚かさ れました。

和食店の基本コンセプトであった二十四節気に関しても同時に資料を集めている中、日本の節気が農耕と深く関わり、人々の生活の基盤をなし、指針となる事にも気付かされました。そして其の事が伊勢へと繋がります。お伊勢さんは農業国日本の、心の故郷なのですね。生きて居る間、一度はお伊勢参りと願ったのがうなずけます。すべての街道は伊勢へと思われるほど多くの街道がつくられて行きました。そして伊勢へ向かう街道筋に銘菓が生まれました。 東海道桑名宿は伊勢への参宮道でもありました。その街道沿いには今も様々な名物餅が残っています。赤福・へんば餅・おきん餅・関の戸・御はら木・安永餅・二軒茶屋餅、まさに餅街道です。 そのほとんどが多店舗展開や、東京進出など考えもせず、面々とこの地で愛され続けていることに驚き、そして敬意を表さずにはいられません。 伊勢への出発点、桑名は今もたおやかに往時の空気の中におります。









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